富田の無量壽寺文庫「ぼくたちの旅~十万年の時をこえて出遭う奇跡」

 

はじまり

(プロローグ)

 

 

真夜中の満月ー救いをもとめてー

 


富田無量壽寺境内から撮影H31.4.19真夜中ー平成最後の満月ー諸仏、諸菩薩のお姿が見えます。あちらから見下ろしておいでです。みなさんには、どのようにみえるのでしょう?

 

真夜中の月は満月で。僕は、祈ったんだ。助けて、助けて、って。頭がおかしくなるよ、胸が痛むんだ。おかしいよ。こんなことって本当にあるのかい。こんなに苦しいのなら死んでしまいたいって、僕は月に思い切り手をのばした。どうかどうか、お願いをきいて。月は、黙ってる。事実さえも捻じ曲げられてしまうこの世の中で、なにが事実で真実か、見抜くことが出来る奴なんかいるもんか。それでも、僕はボロボロになっても生き抜いてきたんだ。それが真実の証だと信じてたから。偽りの笑顔なんて、いらないんだ。冷たく突き放す傲慢も。おかしいよ。本当におかしすぎるだろ。身を削って大切なものを生かすためにどれほど、かばい、悩み、苦痛を浴びても唇をかんで、言い訳もしないで。もうつかれたんだよ。ねえ月よ、僕を見て。夜中を照らす月灯りに僕をとかしておくれ。僕の哀しみをとかしておくれ。明日も、明後日も考えることを捨てて、僕は、消えてしまいたい。。。

。。。

。。。

ぼくらは長いこと、悩み、辛い時をすごしていた。
どのように、いかに、なにをどうすればよいのか、さっぱりわからなかったんだ

今日までの出来事一つ一つをふりかえれば
まるで、小説や物語であったかのように想えるよ。
地に足をついて、息をしている、生きている実感さえしなくなったのは、いつからだろうか。

毎日が、息の詰まるような空間に閉じ込められて、
塊のまま体内に残されている、哀しみの涙も数珠つなぎ
日々の重みを隠しながら、
きっと誰もが、そういうときを過ごすことはあるよ、と。
誰かの声を頼りに、必死でもがき、朝をむかえた。

くやしかった。無力だった。心がひどく痛かったんだ。
誰かを責めることもあったけど、
それよりも、自分の能力のなさを自覚して、何度も吐きそうになった。

最後の砦のそれは、いつもぼくを頑なに拒み、
決して歩み寄りをさせてはくれなかった。
「それ」は、おおいばりで、空間をわが者顔で支配しているんだ
ぼくは、それをだまってながめていた
ぼくは、少し、そばにより、
「それ」が広がる様を、ながめているしかなかった
「それ」は、「それ」で、
お前なぞに、なにが出来るのか、といわんばかりに、幾重もの層をつくり
どこにも定住せずに 気まぐれに散らばるんだ
そして、不意に集まるかと思いきや、前より更に仲間を増やしている

でていけ どこかにいってしまえ!
ぼくは声をはりあげて、それにぶちまけた
そして、二度と、「それ」がいる場所に近寄らなかった

翌日も、その次の日も、その次の次の日も、ぼくの元にたどり着く一日分の荷物の中にも、
「それ」は、二度と現れなかった。

うつろな影のようなその存在は、姿を隠すように、
ぼくの視界から、消えてしまった。

それなのに、なにかがおかしい
それなのに、僕の心はざわめいている

それなのに、頭から離れないんだ、離れてくれないんだ

ああ、そうだよ、その通りだよ
それほど、ぼくはつよくないってこと。。。

弱い、小さな人間だってことなんだ

もう、。。。無理かもしれない。。。もう、つかれたよ。。。
もう。。。

きもち悪さが、ドロンとぼくの喉にはりついた

突然、胸の奥で悲鳴がきこえた!!

「もう嫌だ、もういやだよ、ほんとうに、嫌だ❗
いいかげんにしてくれ‼️

お前は、もうだめだっていうけれど、
ぼくはどうなるのさ
お前が溶けてなくなれば、僕もきえてしまうんだ

お前が生きるのをやめても、僕は、生きたいよ
誰も、お前を認めなくても、僕はお前を誇りに思う
ぼくはお前のことはすべてしってる、わかってるんだ
どれほど、気持ちのいいやつか、愚かなやつかも
どれだけ歯を食いしばって、身体を持ちあげて、
使われるだけ使われて、倒れても又、おき上がってくる、
それほど、お前は、ものすごくすごいやつなんだ!
どれだけしってるとおもうんだい!

生きてくれ 頼むよ  どうかどうか 生きてほしいんだ
まだ、お前は本当の幸せをあじわっていないんだぞ
ぼくたちの旅は、まだはじまっていないんだ!
はじまっていないんだぞ!」

 

夢なのか、まぼろしなのか、その声が頭にこだました
その声に意識がのみこまれていった。
ぼくは沈黙ととけあっていったんだ。

 

 

「それ」との出遭いー変化のときー

 

 

ぼくが布団にくるまって、暗闇に抱えられていたって、
ぼくの涙と鼻水が枕をびしょびしょにぬらしたって、
ぼくの周りは、ちっとも変わらないんだ
ちっともだよ

鼻から空気を大きく吸い込んだ

すると、ぼくの気持ちが前とは違っているのに気が付いた
なにか、落ち着いたって感じた
いい気持ちになったんだ

そしたら、記憶から消していた、「それ」が目のまえにあらわれたんだ。
そして、いきなり話しだしたんだ。どこに口があるのかまったくわからないけれど、
確かにそれは、「それ」の声なんだ。

「自分自身が変わらなければ、何も、はじまらないんだよ
周りではなくて、自分がどうしたいか、それだけなんだ

物事の出遭いはさ、向こうからやってくるのさ
一期一会の風にのって
長いトンネルをぬけてね

複雑な長い時間をかけて、君が避けようが、よけようがお構いなしでさ、
ようやく、君にたどりついた私を、君は、「それ」って名付けて
こわがって、悲しんで、遠ざけて、見てみないふりをしていたね

今はどうだい、君には、私の声が聞こえるのだろう。
今までの君ではないということだ。
君自身も、新しい自分に出遭ったというわけさ
さあ、よくみておくれ

新しい君の目に、わたしは、それは、まだ恐れる者としてうつっているのかい
それとも、私を捕まえ、私を調べ、私を解き放つ、勇気は起きたかい
私を怖がる必要なんてないのだよ
私も、君も、もう一人のきみも、そもそもみんな同じ、一つなんだから

すべては、同じ意味の中に存在することを
これから君は知ることになるだろう
君はそうして幾百、幾千、幾憶もの「出遭いの奇跡」を観ることになるだろう
君はそうして幾百、幾千、幾憶もの「奇跡の変化」を味わうことになるだろう

わたしは、君にそれを告げにきたのだよ
十万年の時を超えて
唯一、君に、君だけに出遭うためにやってきた
奇跡を告げるために、変化は起こせることを
伝えるためにね

これからが君の本当に、本当の始まりさ

いや、いつでも、「始まり」の連続だということさ
私も、また、この時を終えれば、
新しい私が、また君におとずれるだろう
未来も過去も、君だけの『今』の内にだけ、在るのだから

全ては刹那の「始まり」に依ってね

勇気をおこすんだ
希望をたぐりよせるんだ

「はじまり」を恐れるな

君のいのちの船出は、はじまったことを決して忘れてはいけない。。」

。。。。。

 

清々しい朝 めざめた
ぼくは、すでにおきてはいたんだ
「それ」は、そのままの「それ」になっていた
「それ」は、「それ」として、ただそこにあっただけだったんだ。。。はじめから。。。

 

夢告-無敵艦隊ー

 

大きな見たこともないような、とてつもなく大きな船が、大海原を悠々と進んでいる
青空と青い海を切り開くように、あたたかい風を受けて突き進んでいる。

僕は、デッキから海上を見下ろした。太陽の強い日差しで、世界の色がより鮮明に輝いてみえるんだ
遠く見える白い島々の沿岸に、大きな船が積み荷を降ろしている。
また、その近辺には、小さな船が何隻も集まって網を張り魚を集めているのがみえた。

ぼくの乗ってる船ほど大きな船は一つも見当たらない。
ぼくの船の表面は、鋼のようにシルバーに光輝いている。
ものすごく大きな胴体は、丸みがあって、

何千人の乗客を乗せる豪華客船が、100隻くらい余裕ではいってしまう大きさなんだ。
それにさっきより、船はどんどん大きくなっているみたいだ

あの船は 僕の勇気なの?
あの船は 僕のつよさなの?
あの船は ぼくの、覚悟なの?

胸の奥のだれかがいった
そうだよ
そうだよ
って。

そう聞こえた気がしたんだ。
嬉しそうな声だった。

ぼくは、「はじまり」にむきあうよ
ぼくは、ぼくなりに、できる限りの力をだしてやってみる

そう決めたから
十万年の出遭いの「それ」、いや、あなたへ
ありがとう
すべてを今「はじまり」にそそぐよ

あなたとぼくと、心のきみとの旅
十万年後に巡り合うのは、同じぼくたちでなくても
カッコイイ僕に出遭いたいんだ

かならず あいにゆくよ

もう迷いはなかった。

海を見た
波と波がぶつかり合って、光を反射している

。。。すべては、同じ意味の中に存在する。。。

あの人の言葉が、心の中で響いた。
今の僕には、どんな意味かわからないけれど、
いつかはわかる時がくるのだろう

ぼくらの旅は、今はじまった

「ぼくたちの旅~十万年の時をこえて出遭う奇跡」始まりの章 釈尼妙秀 H31.4.22